ようこそ太四郎の森へ

私は“泉”という自分の名字がとても気に入っている。
その名字の由来はどこにあるのか、二十歳を過ぎた頃から気になって仕方がなかった。
そのルーツは、祖父の出身地である石川県にあった。
泉の湧く土地で農業を営んでいた曾祖父が、泉の恩恵にあやかって“泉”という名字をつけたのだった。

私の名前は太四郎ではない。
石川県から明治三十年に北海道へやって来た曾祖父の名前が“太四郎”だ。
太四郎は開拓民だった。六十歳を過ぎてやって来た初老の開拓民だった。

曾祖父が十勝の土地を耕し始めたのは100年以上前のこと。
私が生まれるより前に、曾祖父が開墾した畑は人手に渡ってしまった。
私は帯広で農業とはまったく関係のないアンティークショップを経営して暮らしていた。
そんな中で、“泉”という名のルーツを知ったことから、自然と泉の湧く土地を探すことがライフワークとなった・・・。

十勝の地図を片手に泉の湧く場所を探して十勝中を歩き回った。
まるで何かに取り憑かれたように歩き回った・・・。

15年経ったある日、藪の茂みの奥で泉の湧く音を聞いた。
咄嗟に、ここだ!と思った。ここに“太四郎の森”をつくろうと、何かが私の中に降りてきた・・・。

5年が過ぎ、胸の高さまであった笹を刈り終わった。
15年が過ぎ、原生の植生が蘇ってきたのを感じた。
20年が過ぎ、あずま屋が完成して泉から湧き出る水様を観る処が出来た。

暖かくなるとオオバナノエンレイソウが一面に咲き、やがて短い夏を前にエゾ蝉の声が森のすべての音を奪い去る。
枯葉が落ちるとフクロウが帰ってくる、一面真っ白な雪に覆われる。
そしていつも、こんこんと湧く泉がある・・・。

泉太四郎は生きるために必死で十勝の森を開墾した。その曾孫は、十勝の森を再生する。
曾祖父のメッセージが、泉の湧く場所に百年以上経って届けられた。

今では訪れる人を迎え入れる準備が多少だが整った。
テーマパークでもない、エンターテイメントのプログラムがあるわけでもない、ただひたすら深い森が続くだけ・・・。
そこに時々人が訪れては、息を深く吸って帰って行く。ただそんな場所。

もしこの森を観たいという人がいるなら、是非訪れて欲しい。
心から歓迎致します。

「ようこそ太四郎の森へ」

森のご案内

管理人 泉幸洋
森の管理人
泉 幸洋

見学時間
9:00~17:00
不定休

連絡先
TEL:090-1305-9558
※森に入っているときは携帯がつながらないため、電話に出ない場合は時間をおいておかけください。

お願い
見学の際は太四郎の森維持のための寄付金として、お一人様1,000円を当日お支払い願います。

所在地
〒089-2561 広尾町野塚1線23
地図